【完】こちら王宮学園生徒会執行部







「ん……」



毛布のやわらかな感触を感じて、肩に引き寄せる。

あれ、わたし昨日、肩に直接毛布が触れるような格好で、寝たっけ……?



──ぱち、とまぶたを持ち上げれば。

視界にうつる天井に一瞬ぼんやりして、ばっと上半身を起こす。まわりを見回せば、自分が寝ているのは彼と共同で使う寝室にあるベッドではなく。



「え……っと、」



マンションの、自室のベッド。

思わず自分の姿を見下ろせば、着ているものはキャミソール一枚。



昨夜のことをぐるぐると思い出していれば、コンコンと控えめなノックの音。

それから扉が開く瞬間に、思わず胸元を毛布で隠した。



顔をのぞかせたのは、当然というか、いつみで。

彼はわたしの姿を見ると、穏やかな口調で声を紡ぐ。




「ああ、起きたか。おはよう」



「お、はよう……ねえ、昨日、わたし……」



昨日は、いつみのご両親にお会いして。

それから帰りに車に乗ったことは覚えてる。……けど、そのあとの記憶が一切ない。



「起きなかったから、寝かせておいた」



「あああっ、やっぱり……! ごめんなさい!」



マンションについたら起こしてって言ったのに……!!

完全に寝ちゃったってどうなの……!!しかもたった今までぐっすり寝てるなんて……!!



申し訳なくてベッドの上で正座のまま謝罪。

そんなわたしの元に歩み寄ってきたいつみは、なんの脈絡もなくわたしの首筋に顔を寄せて。



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