【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「いつみ……!」



「……どうした? そんなに慌てて」



「や、その……着物、ありがとう……」



早急にシャワーを終えて、お風呂を出る。

せっかく浴槽にお湯を張っておいてくれたけれど、あんまりゆっくり浸かることもできないまま、急いで服を着てリビングに行けば。



彼は仕事をしていたようで、不思議そうに首を傾げる。

それから、「ああ」と、思い出したようにこぼしたあと。



「触っても全然起きなかったしな」



「!?」




え、触っ……!? 触った……!?

一体どこを触ったの……!?



「冗談に決まってるだろ。

着物なら、寝室のベッドの上に広げて置いてある」



「あ、うん。ありがとう片付ける……」



なんだか朝から妙なことになってる。

……いや、わたしが寝ちゃったのが悪いんだけど。



「ん。で、俺今日帰り遅くなるから」



「……? はぁい。ご飯どうする?

食べて帰ってこないなら、作っておくけど」



言えば、「なら頼む」と口にする彼。

家でご飯を食べるってことは、飲み会に参加させられるわけでもなければ、夕帆先輩とご飯に行くわけでもないらしい。



< 107 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop