【完】こちら王宮学園生徒会執行部



「兄貴と同じ名字とかほんとやだ」って嘆いてたけど。

その話をいくみにしたら、「兄貴って呼んでるだけまだかわいいもんじゃないの」らしい。



……かわいくねえよ。

あんな生意気なクソガキが弟だっていう俺の気にもなれ。何が『ファンに人気のNANAスマイル』だよまじで。何も爽やかじゃねえよ。



「……、まあそれはいい。

なんでそれを俺に報告してくるんだよ」



「え、だって自分の知らねえとこで南々瀬ちゃんに色々起きてんだから気になるだろ。

親切な幼なじみがわざわざ教えてやってんじゃん」



「………」



「はいはい仕事するから黙れってね。

あ、これ南々瀬ちゃんにお礼言って返しといて」



アルミの保温性になった小さめのバッグ。

中身は空になったお弁当箱で、そのお弁当を作ってくれているのは南々瀬ちゃんだ。




というのも、現在俺が住んでいるマンションはいつみと同じマンションで。

階が違うから、直接的なかかわりはねえけど。



もともと自炊しない俺を気遣って、南々瀬ちゃんが自分の分をふくめていつみと俺の分もお弁当を作ってくれる。

さすがに毎日作ってもらうのは申し訳ないから、という俺の発言で、週に一度だけ。



その週に一度が今日だから、いつみと南々瀬ちゃんもお弁当の日だ。

それ以外の日は俺らはカフェで食事したりコンビニで何か買ってきたり。



お弁当以外にも、南々瀬ちゃんは差し入れやら冷凍保存できるおかずの作り置きやらを渡してくれるし。

あの子は花嫁修行が完璧すぎる。もうさっさと結婚しろ。



「お前いつ結婚すんの?」



「……今度はなんだよ急に」



俺からバッグを受け取ったいつみは、呆れたようにため息をつく。

仕事手伝おうかと声を掛けたけど、「いい」と断られた。



< 13 / 276 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop