【完】こちら王宮学園生徒会執行部



テーブルに肘をついた状態で、両手に額を預けて顔を見せないいつみ。

……あきらかに、精神的にきてるだろ、これ。



「……いつみ」



「………」



「お前ちょっと休め」



指輪がいつみの思う場所にあるのなら、それは彼女がいつみとの結婚を解消するという意思表示だ。

政界の手から逃れるために3月には籍を入れようとしていたのに、これじゃ元も子もない。



それに、たぶん。

……たとえ彼女が選んだ手段が最善策だろうと、南々瀬ちゃんが自分の元を離れようとしてる事実に、追い詰められてる。



当たり前だろ、そんなの。

結婚を約束してる大事な彼女が、どんな理由であろうと自分の元を去ろうとして、平然としていられる男がどこにいるんだ。




「……チッ、」



「どっちにしたって明日、南々先輩がもどってくるまで何もできないんですよね?

それなら、いつみ先輩は休んでください」



「………」



「夕さん、家にお邪魔しても良いですか?」



ルノに見据えられて、「ああ」とうなずく。

そのままポケットから取り出した家の鍵を軽くルノに向けて放って、「先帰ってろ」と告げた。



「ここでじっとしてても仕方ねえしな。

……俺は、いつみと話してから後で行く」



さすがにこの状態のいつみを一人にしとくと、何やらかすかわかんねえし。

それはほかのメンツもわかっているのか、先にあっさりと俺の部屋へ引き上げた。



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