【完】こちら王宮学園生徒会執行部
だから手伝う、と。
言い切ればいつみは困ったように笑ってから、俺に向けて「頼んだ」と一言。……見てる方が心配になるぐらいの表情でそう言われても、な。
「うまくいくのか?」
「さあ、な。
……うまくいかなかった場合はもう、南々瀬と柴崎の好きなようにさせてやるしか無い」
「お前、一体何する気なんだよ」
「……もし、明日。
俺が夜までに帰ってこなかったら、南々瀬に謝っておいてくれないか」
「いつみ」
知ってる。幼なじみだから、知ってるんだよ。
お前がそうやってはぐらかすときは、心配をかけたくない時で。……巻き込みたくないからだ。
それはつまり、成功率の低い何かが待っている時。
何をするんだと問う俺に対して、いつみは「大丈夫だよ」と穏やかな声で返すだけ。
「これがあいつらを守ってやれる最後の手段だ。
……そのためなら、失敗しても俺は後悔しない」
「いつみ」
「だから失敗した時には謝っておいてくれ。
……二度と顔を合わせられないかもしれないからな」
息が詰まる。たとえ冗談でも、二度と、なんて言ってほしくない。……だってそうだろ。
お前は南々瀬ちゃんのこと大事に思ってるかもしれねえけど。……俺は南々瀬ちゃんとお前が上手くいけばいいのにって、ずっと思ってんだよ。
「帰ってこなかったら殺す」
物騒すぎる俺の言葉に、いつみは小さく笑う。
その笑みがさっきの困った笑みよりも妙に綺麗だったから、苛立ちを舌打ちに込めた。