お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
「エリナさん?川島さん、貴女何か勘違いしてるわよ」


「えっ?勘違い?じゃ、あの女神像みたいな美人が彼女?」


「女神像?…それってもしかして…」


原さんはそう言うと堪らなく可笑しくなったみたいだ。
くくく…と笑いを噛み締め、ドクターに向かってこう言った。


「先生、川島さんの誤解を解いてあげれば?この人、大分酷い勘違いをしてますよ」



「…ああ、そうみたいだな」


呆れた顔つきで眺められ、私はポカンとしてしまった。


「間抜け面見せんなよ!」


ドクターはディスり、職場まで送ってやるから外で待っとけ!と吐き捨てた。


(何よ〜!その言い方〜!)


心の中で反論したけど、同時に少しだけ嬉しく感じる。


私の勘違いってホントに?
どっちの女性もドクターの彼女じゃないの?


(先生には恋人がいない?だったら告るチャンスもある!?)


ふわりと心が浮き立つ。
そのせいでか足首も脛も痛みがいっぺんで軽くなっていった。


ルンルン気分に変わって病院を出た。
道路には既にドクターの車が待ってて、今度こそ本当に同じ空気を吸えるんだと実感した。


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