お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
「つっ!」


スカートの裾が膝に触れる度に激痛が走る。
立ち止まって捲ると血はダラダラと足首まで伸びていた。


「もうダメ、死ぬ」


出血だけでか?と思うでしょうが、これが見るも無残な打ち身傷で。


「何よ、この黒いの」


丸い傷の上にアスファルトが粉のように張り付いてる。
どおりで痛い筈だよ…と言うか、これは受診レベルじゃないのか!?


「誰か助けて〜…って、来る訳ないか」


アニメやマンガじゃあるまいし…と諦め、痛みの走る右足を引きずりながら何とかコンビニまで歩いた。
妙ちくりんな歩き方をしてる私をすれ違う人が異様な眼差しで見て行く。


(くっ、悔しい〜〜っ!)


転んだのは自分の責任だとしても、あそこに根っこさえ飛び出してなければ__


悔しさや恥ずかしさを感じながらもコンビニのトイレに駆け込んだ。
そこで改めて傷を見て、濡らしたティッシュで血を拭き、傷口も拭こうとしたがまるで無理。


「痛すぎ!これ自分で治療出来る範囲を超えてる!」


お昼休みに皆の分のスイーツを買いに出掛けてこんな目に合うなんて、私は何処までツイてないんだ。


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