お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
三日も続けて時間外労働をさせてすみません。
そんな気持ちでお礼を言った。



「ああ、お大事に」


そう言いながら振り向くドクターに胸が鳴る。
藤田くんのお兄さんだと知った今、急に彼が近い存在に思えた。


「失礼します」


そう言って診察室のドアに向けて歩きだし、それを閉めながら名残惜しそうにドクターの背中を見遣った。



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