お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
「……ありがとうございました…」
低い声で言いたくもないけどお礼を言った。
男性と口論なんて別れた彼氏ともしたことがない。
「…ああ、お大事に」
ドクターも言い難そうに呟いて逃げる。
他の看護師さんが、先生…と呼び止めるのも聞かずに……。
「あーあ、拗ねちゃって」
原さんがクスッと笑った。
「拗ねる?」
あのドクターが?
「あの顔は少し反省もしてるんですよ。若い女性と本気になって言い合ったことなんてないですから」
貴女なかなかやるわねーと変なことで褒められてしまった。
全く何処までもやりきれない。
私だって病院のドクターに怒鳴り返したのは初めてだ。
いつもの様に時間外診療分は請求されずに院外へ出る。
閉まる自動ドアの向こう側にいる同級生のお兄さんのことを思い出しながら、自分でも熱くなり過ぎたかなと反省した。
でも__
「乳くさいって何よ」
そりゃこのヘアスタイルだとそう言われても仕方ないかもしれないけど…と、耳朶より少し下にある髪の端っこを触る。
低い声で言いたくもないけどお礼を言った。
男性と口論なんて別れた彼氏ともしたことがない。
「…ああ、お大事に」
ドクターも言い難そうに呟いて逃げる。
他の看護師さんが、先生…と呼び止めるのも聞かずに……。
「あーあ、拗ねちゃって」
原さんがクスッと笑った。
「拗ねる?」
あのドクターが?
「あの顔は少し反省もしてるんですよ。若い女性と本気になって言い合ったことなんてないですから」
貴女なかなかやるわねーと変なことで褒められてしまった。
全く何処までもやりきれない。
私だって病院のドクターに怒鳴り返したのは初めてだ。
いつもの様に時間外診療分は請求されずに院外へ出る。
閉まる自動ドアの向こう側にいる同級生のお兄さんのことを思い出しながら、自分でも熱くなり過ぎたかなと反省した。
でも__
「乳くさいって何よ」
そりゃこのヘアスタイルだとそう言われても仕方ないかもしれないけど…と、耳朶より少し下にある髪の端っこを触る。