お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
明日コンビニ行ったら文句言ってやる!
そう思ってベッドに入った。


目を閉じたら今朝のドクターとのやり取りを思い出して、皆が言ってた元恋人には甘い言葉の一つくらいは囁いてやってたのかなと気になった。


(案外と毒ばかり吐いてたから嫌われたんじゃないの?)


あり得そうだと笑いを噛み締めて眠った。
自分の知らないドクターの別の顔がどんなのか分からず、夢の中でうーんと唸ってばかりいた……。




「今日はちゃんと時間内に来たんだな」


毒が吐けずにいるドクターは若干残念そうだ。


「当然です!」


私はフンと鼻息を吹いて胸を張った。


「そんなに毎日時間外労働ばかりさせませんよ」


「散々させといてそうきたか」


それこそ当然だと言い返すドクターに頭の中で可愛くないと考える。

それでも今日は少しだけ気分が良かった。
此処に来る前に立ち寄ったコンビニで良いことが一つあったから。


(折角いい事があったんだから怒らない!)


ヘラッと笑うとドクターは止せ!と吐き捨てる。


「意味もなく笑うな。気色悪い」


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