お願いドクター、毒よりも愛を囁いて
「何があったかは知らねーけど、ヘラヘラ笑ってる方が似合う」って。

人のことバカにして〜!と怒鳴りたくなったけど、前向きに考えて笑い飛ばしてしまった方がいい。

今度は自分の力で商品化を目指します!そういつか言えるようになろう。


ドクターには、毎度すみません…とお詫びを言っておいた。
彼は不愛想な感じで「ああ」と一言返しただけ。

車内での雰囲気も別にサドでも毒舌家でもなかったし、終始無言でいて、それも多分、私が頭痛を抱えてると知ってるからだろうと思う。


気持ちが荒んでる時にばかりそんな態度。
ズルいと思いながらもキュンとして堪らなかった。

やっぱりお医者様なんだなぁと感心させられた。
意外に紳士だと思えて、ずっと胸が鳴ってしまった__。



それから二日間は平穏無事に過ごせた。
やっとツキの無い日々から脱出したのかと思ってたんだけど、金曜日の朝、出社前に藤田外科病院へ行こうとしてドアの前まで来た時だ。


病院の中をドクターが女性と二人で通り過ぎて行くのが見えた。

楽しそうに笑ってて、あの仏頂面と怒鳴り声と毒しか吐かない人!?と思わず目を見張ってしまうくらいだった。

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