気付けば、君の腕の中。

+ 君に触れた手が震えた



(Side:凜太郎)


絢華たちと出かけた日から、もう1週間が過ぎていた。

俺は携帯に表示された名前を見て、誰にも聞こえないほどのため息を零した。



「…もしもし?」

『凜太郎ね、今日も帰らないから留守番を頼むわよ』

「うん、わかった…。母さん、夜ご飯は?」

『アンタが作った料理なんて、いつもまずいじゃない。いらないから、適当にコンビニでも行きなさい』


携帯から「ツーツー…」と虚しい音が聞こえたのを確認して、俺は静かに携帯をテーブルの上に置いた。



リビングを見渡すと、床に散らかった料理本を見つけた。

母さんは料理が得意ではないし、俺も料理は全然出来ないのだ。

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