気付けば、君の腕の中。
その声に我に返ると、五十嵐くんから距離を取った。
慌てて凜くんに視線を向けたけれど、もう既に姿は見えない。
「い、五十嵐くんっ!! もし、もし誤解されたらっ……!!」
「させとけば」
「な、ななな……!!!」
「こうでもしねーと、アイツ気づかねーから」
「…えっ、ど、どういう意味?」
ぽんぽんと頭を撫でられて、強制的に黙らされた。
ど、どうしよう……!
凜くんに誤解されたら、もう好きなんて言えないよ…!!
…で、でも凜くんからすれば、あたしは“友達”だから別にどうでもいいかも知れない…。
いつの間にか歩き出した五十嵐くんを見て、あたしは考えるのを諦めて追いかけた。