気付けば、君の腕の中。
本格的に眠ろうとする陰輔くんに驚いたが、あたしは「仕方ないなあ」と頭を撫でてあげた。
意外にも陰輔くんの髪はふわふわで、彼が眠りに落ちるまでずっと撫でてしまった。
向かいに座っていたゆうきくんが不意に立ち上がった。
そのままあたしの隣に座ると、ポケットからあたしと交換した折り紙を取り出した。
「…これ、みんなにじまんしたいから、どっかにはっていい?」
「お、いいね! じゃあ明日ゆうきくんの折ってくれた鶴持って来るね」
画用紙に貼ればいいかな、と思って白い紙を探すと、この幼稚園に通うもう一人の女の子、すずちゃんが渡してくれた。
ようやく最近心を開いてくれたので、じーんとしながらお礼を言えば、照れ臭そうに頬を赤く染めて笑ってくれた。