気付けば、君の腕の中。


本格的に眠ろうとする陰輔くんに驚いたが、あたしは「仕方ないなあ」と頭を撫でてあげた。


意外にも陰輔くんの髪はふわふわで、彼が眠りに落ちるまでずっと撫でてしまった。


向かいに座っていたゆうきくんが不意に立ち上がった。

そのままあたしの隣に座ると、ポケットからあたしと交換した折り紙を取り出した。


「…これ、みんなにじまんしたいから、どっかにはっていい?」

「お、いいね! じゃあ明日ゆうきくんの折ってくれた鶴持って来るね」


画用紙に貼ればいいかな、と思って白い紙を探すと、この幼稚園に通うもう一人の女の子、すずちゃんが渡してくれた。


ようやく最近心を開いてくれたので、じーんとしながらお礼を言えば、照れ臭そうに頬を赤く染めて笑ってくれた。


< 381 / 445 >

この作品をシェア

pagetop