気付けば、君の腕の中。
ガタッと立ち上がると、缶が倒れていくのを気にせず、絢華を抱きしめた。
音を立てて中身が飛び散ったそれは、まるで“失恋”をしたときの俺の感情と同じだ。
「…絢華が俺に“あたしに向ける感情は“友達”だよ”って言ってたけど、訂正させて」
俺の腕の中で絢華が震えていた。
だけど、振り払われることはなかった。
今に思えば、絢華は一度も俺を拒否せず、全て受け止めてくれたような気がする。
…そういうところも含めて、俺は、絢華の全てが。
「俺が絢華に向ける感情は“恋愛”だよ。今でも遅くなければ…、俺と付き合ってください」
口にした言葉は、初めて俺から求めたものだった。