雨の降る世界で私が愛したのは
ハルとの出会いは一凛の将来を決めた大きな出来事だったが、今の一凛はあの時の自分が微笑ましくさえ思える。
恋にも似た感情を一凛は確かにハルに抱いていた。
大人でも子どもでもない不安定な時期にありがちなことだ。
でも皆そうやってその多感な時期に何かを感じ、感銘を受け、人生の指針を決めるのではないだろうか?
いつかハルに会いに行かなければと一凛は思った。
今の自分を作ったのはハルなのだ。
感謝の気持ちを伝えたい。
実際にイギリスに渡ってから、ハルに似たケースにいくつか出会った。
人間に知能の差があるようにゴリラやチンパンジーにもあるのだ。
ハルのケースは人間でいう稀にみる天才型のケースだといえる。
まだ十七歳だった一凛にハルが人間のように見えたのは別に異常なことではない。