雨の降る世界で私が愛したのは
むなしさが込み上げてきた。
テレビ画面では電話番号が大きく表示され、ハルを見かけた人はここに電話するようにと促している。
ほのかはその番号をメモし電話を取る。
呼び出し音を聞いている間も心が揺れた。
抑揚のない女の声が出た。
「わたし見ました」
ほのかは一凛と別れた街と真逆の街の名前を口にした。
名前を聞かれてすぐに電話を切った。
こんなことで捜査をかく乱できるとは思わなかったが何かせずにはいられなかった。
どうか一凛とハルが逃げきれますように。
ほのかは祈った。
一週間経った。
一凛とハルはまだ逃げていた。
ほのかは何度も一凛に電話をしたが電波が届かないところにいるのかそれとも電源を切っているのか繋がらない。
ほのかは見舞客のいなくなったがらんとした休憩所を見回す。
「呼び出しておいてこんな所で悪いね、ほんとうは外で食事をしながらでもと思ったんだけど」