雨の降る世界で私が愛したのは


 なんのきっかけでまた仲良くなったのか覚えてないが、その時の記憶は小さな罪悪感としてずっとほのかの中に残っている。
 
 ハルだけが捕まりますように。

 ほのかは祈った。

 ありがとう。

 ハルの低い声が聞こえた。

「どうしろって言うのよ」

 苛立った声が出る。

 ハルにも感情があるのは分かる。

 一凛の言うように人と同じ頭脳をもっているのも理解している。

 でもハルはゴリラじゃないか、人間じゃない。

 ハルが一凛や自分の人生を狂わすようなことがあってはならないはずだ。

 やはり警察に連絡しようか。

 公衆電話から電話してすぐに切ればいい。

 でもなんて言う?

 なんでそんなことを知っているんだと追求されるかも知れない。

 ほのかはゆっくりと息を吐いた。

 今後この二人にはいっさい関わらないのが一番いい。

 そうだ、そうしよう。

 一凛から連絡があっても無視しよう。


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