雨の降る世界で私が愛したのは

「わたしがもし警察に捕まるようなことがあったら、そのときは今日のこととか全部なかったことにしてね」

「言ってる意味分からないんだけど」

「わたしには関わっていないことにして。ほのかにも依吹にもこれ以上迷惑かけたくないの」

「充分すぎる迷惑かけておいてよく言うよ」

 一凛は消え入りそうな声でごめんと謝る。

 依吹は横目で一凛を一瞥する。

「一つ訊きたいことがあるんだけどさ」

「なに?」

「なんでそこまでハルのためにするんだ?」

 事件の真相が公になって困るのは依吹の動物園だけではない。

 全てを話すのなら一凛がハルを連れて逃げたことも話さなければならないだろう。

 現に警察はそのことに気づいていると一凛は言う。

 一凛の計画が上手くいってハルが無事保護されることになっても、今回の一凛の無茶な行動を世間はどう取るだろうか?

 賛同する者よりも批判が多いのではないか。

 


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