雨の降る世界で私が愛したのは


「他につき合ってる奴とか好きな奴がいないんだったら、とりあえずでいいから俺と付き合ってほしい」

 そこまで言われると断れず、颯太の堂々とした態度は男らしくて好感がもてた。

 一凛が颯太とつき合うようなって、興奮したのは一凛自身よりも周りの女子たちだった。

「イケメン生徒会長を彼氏にするなんて、羨ましすぎる」

 そう言われることは少なからず一凛の自尊心をくすぐった。

 素直に一凛を羨む女子もいたが一凛を妬む女子も多かった。

「たいして可愛くもないくせに」

「すぐにフラれるに決まってる」

 その話を聞いたほのかは手鏡をのぞき込みながら言った。

「そんなの一凛が可愛いから嫉妬してんだよ、ほっときなよ」

 ほのかの通う高校は校則がゆるいのか、ほのかはうっすらとメイクを施し、髪はゆるいパーマをかけ明るい色に染めている。

 最近はつき合いだしたばかりの武(たける)くんとラブラブだ。






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