雨の降る世界で私が愛したのは
少し震えていたがはっきりと一凛は言った。
「正気か?」
「正気じゃいられないくらいハルを愛してるの」
薄暗い部屋で血の滲んだハルの肌と一凛の白い肌が蛇のように絡まる映像が浮かんだ。
「狂ってる」
「どうして?どうして人以外の者を愛することがそんなに駄目なの?」
「異常な遺伝子を産み出そうとする行為は悪だ」
依吹はそう吐き捨てると一凛の顔の横に頭を埋め、動かなくなった。
一凛はそのままじっとしていた。
どれくらいの間そうしていただろう。
依吹は一凛の耳元で呟く。
「どうしてなんだ。どうしてせっかく清らかに生まれてきたのに、そんなことするんだ。どうして汚れていない躯を自ら汚そうとするんだ」
震える依吹の肩を一凛はそっと抱いた。
「わたしはただ愛しているだけ。この世の中に汚れた愛なんて存在しない。だからわたしの躯は汚れてなんていない」
依吹は顔をあげ一凛を見た。