この恋は、きみの嘘からはじまった。
どんどん脈打つ速さと強さが増していく。
嫌な予感が脳裏をよぎる。
聞きたくないのに、息を潜めて杉山くんと佐々木くんの会話に耳をすませる。
「ほんと桃瀬ちゃんが可哀想で仕方ないわ」
「まぁ桃瀬ちゃんは純粋そうだもんなー。そんな子とすぐ付き合える司がうらやましすぎる」
「そうだな」
「何、そこ同意すんの?
もしかして桃瀬ちゃんのこと好きなの?
邪魔してやれ!俺は司の思い通りになるのは気に食わん!!」
「言ってることめちゃくちゃだな」
「だって司もたまには痛い目遭えって思うくらい、女に不自由してないし遊びまくりじゃん。
桃瀬ちゃんのこともゲームみたいなもんだし」
両手で口を覆い、声が出そうになるのを抑える。