【完】麗人、月の姫











「美麗。ご飯が出来るまでちょっと待ってね」


「分かった」

結局、紗綾に行けないってこと伝えてない。


きっと今日みたいに言ったら分かってくれたかもしれないのに…………。

「今日はね、美麗の好きなシチューにしましょうね」

台所ではエプロン姿のお母さんが、嬉しそうに料理をしている。

今ここで約束を破って出ていってしまったら、怒られるよね……。

「部屋に戻るの?」

「うん………宿題終わらせようかなって」

……………でも、紗綾と見に行きたい。

少し抜け出すぐらいなら料理をしているお母さんにバレないし、もし直ぐに見れなかったら紗綾に事情を説明して帰ればいい。

月の状態を見て決めよう。




______ガチャ…………。


静かに外へ出る。


月はかけ始めていた。


これならもしかしたら、紗綾と見れるかも!


そう思った私は待ち合わせの場所まで走って向かった。



< 14 / 86 >

この作品をシェア

pagetop