【完】麗人、月の姫






______コンコンコンッ。


「何ですか?」

中から幸斗さんの声が聞こえてきた。


「美麗です。少しお話よろしいですか?」


そういうとガチャッとドアが開き、幸斗さんが中へ案内してくれた。


「こんなところにどうしたのですか?」

幸斗さんはとても不思議そうだ。

中には蓮さんはいない様子。


………………でも念の為聞いておこう。


「蓮さんはいないんですね?」


「あぁ………今は忙しいそうであちこち回って指揮しているよ」


つまり、ここにくる時間はない。


なら、大丈夫そうだ。

「いきなりですけど、陽人ってどこに住んでいるのですか?」

そういうと幸斗さんは「本当にいきなりですね」とクスッと笑った。


「陽人は太陽のエネルギーに似た性質の地を見つけ、そこで暮らしています。そこはとても熱いが彼らは体温調整が上手く、暑さや寒さに強いんです」


「そこはこの世界と同じ?」

「えぇ。世界は同じです。麗人、陰人、陽人はそれにあった地でそれぞれ暮らしています」


つまり、暑さを我慢すれば………………何とか会えるって分けかな?


「陽人の方と話ってできないですか?」


幸斗さんの目を見て、正面から言葉をぶつける。

周りからしたら冗談みたいな話だが、私は本気。

幸斗さんももちろん驚いた顔をしていたが、私の本気さを読み取ったのか、


「………………向こうに書類を送り、許可をされたのなら会えますよ。向こうの姫に」

向こう姫…………………。

頂点の人に話をした方がやっぱり早いよね。


「今すぐは送れないですか?」

「姫様の命令とあれば直ぐ行います」

「じゃあ、お願いします」

「仰せのままに……」

やはり幸斗さんに相談して正解だったかも!


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