【完】麗人、月の姫






修行に関しては、透真くんに明日は幸斗さんが見てくれることになったと伝えたらあっさりと承諾してくれた。


きっと透真くんも忙しいのだろう。



「行くときにバレても困るので細心の注意を払ってくださいね」

止められでもしたら最悪だもの。


「かしこまりました」


陽人の姫に何とか話をして協力してもらおう。


戦争を起こさないために……………………。




















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当日。


幸斗さんはあの時のように、白いチョークのようなもので地面に星型の印を書くと、その上に血を垂らす。


するとその印が溢れだし私達の体を包む。



「向こうは暑いので熱に体が耐えられるよう術を施しましたから、心配は無用です」

「わざわざ、ありがとうございます」

この地以外に行くのは初めてだからドキドキする反面怖い。

でも、行かなきゃ進まない。


陽人の姫と会話をするチャンスが出来たのなら、しっかりと言葉をぶつけないと意味がない。


内容の主旨を的確にして話そう………………。


 
光で周りが見えなかったが、徐々にそれは解けはじめ、先ほどとは違う景色に変わる。


光はさっきとは変わらない…………………けど、いかにも暑そうだ。

きっと幸斗さんの術なしにこんなとこに来てたら、死んでたかもしれない。


「あそこに使用人の方がいますね」

ふと前を見ると門の入り口に女の人がいた。

「美麗様と幸斗様でいらっしゃいますね?」

「はい」

「では、こちらへどうぞ」

そう言うと中へと案内された。


燃え上がる炎のように情熱的なお城………………。

争いなんてないからなのか、そこにはピリピリした空気なんてなく、とても平和だった。


いつ戦争が起こるか分からない麗人の国とは大違い。


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