【短】イノセント


あたしも犬井が好きで。


だけど、こんな風になるのは初めてで…。

どうしてなのか、理由が知りたくて彼の顔を射抜くほど強く見つめ返すあたし。


もうそろそろバスが到着する時間だと思うけど、全然帰る気になんてならなくて。


「……いぬい…」

「自惚れてもいいの?」


あたしの頬に触れてる彼の手に、自分の手を重ねて…そっと触れる。


そのまま、瞳を閉じて彼の温もりを取り込むように手を握ると、戸惑いを含んだ声が聞こえた。

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