【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
「大丈夫だよ...山崎くん。
私がついてるから、ね?」
「...紬ちゃん...」
震えが止まらない山崎君を落ち着かせるために彼の手を軽く握った。
だけど、この行動が逆に流の怒りを買う。
「...おい、どういう事だムギ。
なんでそいつと一緒にいるんだよ...?」
いつの間に私の前に立ったのか。
身長の高い流が作り出した影に呑まれて全身が黒くなる。
山崎君と私の手を乱暴に引き離す流の顔は多分一生忘れられないくらい怖かった。
「おい...なんでテメーがムギと一緒にいるんだよ、山崎」
「いや、」
「テメェー...ムギ人質にとって俺を脅すつもりか?
ふざけた真似してんじゃねーぞ」
「ちが、」
「ムギの肌に1箇所でも傷があってみろ...テメェただじゃおかねーからな」
「...」