【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー
子供みたいにイライラが治まらない流は
山崎君の胸ぐらをグッと掴んで、拳を握り殴る体勢にはいった。
けど
「流、やめて」
殴る前に、流の拳を両手で包み込むように止めたのは私。
「...邪魔する気か?ムギ」
ピリピリと皮膚にまで伝わってくる空気に息を呑むと、握ってる両手を払われた。
拒否されたみたいで、ちょっとだけ悲しくなる。
「山崎君を殴りたい気持ちは分かるけど」
「...」
「今は私の気持ちを優先してほしい」
「...」
「分かるでしょ?言いたいこと。
帰ろうよ、流」
「...」
「せっかくのクリスマスなのに...流と過ごせないの、やだよ...」
「...こんな時だけ素直になるとか。
おめぇは悪魔かよ...ムギ」