トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「自分で聞いたくせに、照れすぎ。瑞希ちゃんは、情が強いのに照れ屋さんだよね。」


「そうですか? 情が強いなんて思ったことないですけど……」


「自覚ないの?恋愛に猪突猛進なとこ。

見た目フワフワしてるけど、見た通りじゃないよなって思ってたんだけど。」


そう言われてみると確かに、するつもりのない告白を衝動的にしてしまったし、猪突猛進というのも納得だった。


「そうだったんですね

……あぁ、自分で気付ければ良かったのに。」


「ん?」


「いえ、なんでもないです。」


「CMの映像見た?自分の表情見たらわかると思うよ。」


「あれは篤さんが、全部……」


「俺が引き出したって?


それなら何故、あの時君は泣いたんだ?」


あの時篤さんは『恋は罪深きもの』だと言っていたっけ。兄への気持ちが苦しくなって、気がつけば涙を流していた。


「……よく覚えてますね」


「覚えてるよ。君のことは何でも。」


「うっ、何ですぐそういうこと言うんですか……」


「あはは。毎回、新鮮に照れてくれて面白いなあ。」
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