トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「はぐらかさないでください」


「君の、嫉妬に燃える顔に見惚れたから、かな。」


「そんな顔はしていませんっ」


「一目見てわかったから、取り繕わなくていいよ。

モニターに釘付けで、たかが演技にあそこまで妬くなんて、新鮮で可愛いなと思って。


だからその気持ちを応援したくなった。」


「え……?」


誰にも言えずにずっと隠してきた兄への気持ちなのに、あっさりと篤さんにバレてしまっていることが恥ずかしい。



でも、篤さんの言う『応援』と、この状況を結び付けられずに混乱していると



「君たち兄妹はね、自分で思ってるより似た者同士なんだよ。


顔は全然似てないのにね。」


そう言って篤さんは意味深に笑う。

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