トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「……!

そうですよね。兄は目鼻立ちがはっきりしてるんですけど、私の顔は地味で、


……同じ兄妹なのにずるいなっていつも思って」



自分でも下手だと思う誤魔化しは、途中で遮られた。



「隠さなくてもいいよ。拓真とは幼なじみだから。


俺は、拓真が黒須 拓真(くろす たくま)になる前から知ってるんだ。君のお兄さんになる前から。」



「そうだったんですか。」



「だから、君が女として拓真を好きになっても、別に変じゃないだろ。」


さっきまでは意地悪な笑みだったのに、急に掛け値なしの優しい顔でそんなことを言う。


つい本音がさらっと出てしまったのは、その笑顔のせいかもしれない。




「でも、無理です。血の繋がりがなくたって私は、兄にとって家族で、妹だから。」
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