トライアングル・キャスティング 嘘つきは溺愛の始まり
「汚すって言い方はないだろ?」


「…………実際、そうだよ。



血の繋がりが有ろうと無かろうと、俺と瑞希が恋人になれば、世間から後ろ指を指されるような関係だろ。



中途半端に事情を知られれば、興味本意であれこれ嗅ぎ回られる。



好奇の目と、ちょっとした悪意。



瑞希にそういうものを背負わせたくないんだ。」



「それがどうした!


そんなもの簡単に乗り越えられるに決まってる。」



「俺の親が……産みの親が、実際そういう関係でさ。



兄妹では無いにしろ、許されない関係で。



身勝手な恋愛をして、障害を乗り越えた愛だって陶酔さえして。



その結果が俺だ。



俺は母親しか知らないけれど少なくとも幸せには見えなかったし、それどころか人として壊れていた。」



「お前と瑞希ちゃんなら、絶対、そうはならないでしょ。」



「どうかな。



俺、あの母親の子供だから。」



今でも、生々しく母親の声が思い出される。


『私は二人だけで幸せだったのに。』

『あなたを産めばもっと愛されると思ってた。その為だけに産んだのに。』

『あなたのせいで、全部ダメになっちゃった。』

『あなたの顔は好き。あの人によく似てるから』

『代わりになるかも知れないから、生かしておいてあげる』

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