絶対、好きになれない。
「付き合ってください、先輩ぃ。」

胸の中で消えそうな声で
子供みたいに甘える愛花ちゃん。

「こちらこそ、お願いします。」

と優しく微笑んで抱き寄せる獅童先輩。

それを少し離れたとこで見守るわたしたち。
見つめあって、友人の幸せな話に
嬉しくなって私達も抱き合う。

夏の最高の思い出になった。

ーーー

いまはみんなで並んで屋台で買った、
美味しい食べ物をパクパクと吟味中。

「あ、百合ちゃんそれちょーだい。」

わたしが手に持ってたポテトを
ひょいっと口に含んで
わたしの指にまで噛み付く先輩。

『っ』

「百合ちゃんの指も食べちゃった。」

とぺろりと舌を出す。

なんか、すごく距離が近く感じて
ドキドキがずっと止まらないよ。

「獅童。そろそろ送ろっか、ふたりを。」

「そだな、あんまり遅くなったらダメだし。」

と、お互いの彼女の手を掴むと
わたしたちは私の家に向かって
ゆっくりと、名残惜しそうに歩いた。
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