絶対、好きになれない。
あっという間に家に着いてしまう。
どことなく、全員が不服そう。

家の前でお話してると、
またも玄関の扉が開いてお母さんが招き入れる。

「あらあら、東雲くん。それからお友達さんかしら?ふたりを送ってくれてありがとう。時間が大丈夫だったら、すこしお茶でも飲んでって?」

と、リビングに通してくれた。
お父さんは書斎にいるらしいので
挨拶は要らないわ、と微笑むお母さん。

わたしに友達が増えて嬉しいのか、
なんだか張り切って
お気に入りのティーセットを出してくる。

「すいません。遅くにお邪魔してしまって。」

律儀に東雲先輩が頭を下げる。

「いいのよ。いまから男の子たちは帰路につかなきゃでしょ?ちょっと休憩していってほしかったの。それに、せっかくみんな浴衣が素敵なんだから、まだもうちょっと祭りの気分、味わいたいでしょう?」

嬉しそうにダイニングに座って
いっしょに紅茶を飲むお母さん。

「ちょっとパパにも珈琲いれてくるわ。またあとでね。ゆっくりしてて。」

と気を遣ってくれたのか、席を外してくれた。
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