絶対、好きになれない。
『なん、のことですか?』

「しらばっくれようとしても無駄だよ。俺、気に入った子のこと、なんでもわかっちゃうから☆」

嘘をつき通すのは難しそうだ。
わたしは大きくため息をついて、
わかりました、と返事する。

本当は話するのも嫌だけど。

『今日の放課後、駅前のファミレスで会いましょう。そのとき、話します。』

では、とだけ言ってわたしは教室に向かう。

同じクラスの人たちに
有名人と喋ってる、と思われるのも嫌だし。
なにより、東雲先輩と
長く話してることさえも嫌だったし。

でもバレたなら仕方ないよね。

ちゃんと理由を話して黙っててもらおう。
< 19 / 136 >

この作品をシェア

pagetop