さよならの時まで、笑顔で
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「ひーくん?」




「今日の玲香は、素直すぎる」




そう言って、私の顎をクイッと上げ、チュッとリップ音をわざと鳴らした。




「もうっ!」




ひーくんの胸をポコポコと叩く。




恥ずかしい...っ




未だに慣れないひーくんとのキス。




あと、何回できるだろう。


あと、何回ひーくんと会えるだろう。



あと、どれだけ....こうしていられるだろう。




「ひーくん、ぎゅって、して」




急に不安になった私に、ひーくんは、黙って私の背中に腕を回し、しばらく抱きしめてくれた。



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