さよならの時まで、笑顔で
.




「やっぱり俺に隠しごとしてるだろ?」




ベンチに座り、手をつなぐ私たち。




「本当に何もないよ?」




「俺がわからないと思う?」




「でも、本当に何もないんだよ?」




あまりにも何も言わない私に痺れを切らしたのか、それからもう聞いてくることはなくなった。




「何かあったら、私からちゃんと言うから、ね?」





「絶対に、そうして」




「うん」





ごめんね、ひーくん。




今は、まだ言えないの。



言える時がきたら、必ず言うから。



だから...


その時まで待っててね。








ちゃんとひーくんにも話せるって。
ーーーーーーこの時は本気でそう思ってた。



でも....



そんな簡単なことじゃ、なかった。





ひーくん......辛いよ......。




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