オオカミ社長は恋で乱れる
「もしもし」

「ああ、俺だ。おはよう」

朝だというのに低くも『おはよう』の艶やかな声が私の耳に響く。

長い間こんなことなかったな・・なんて思いつつ、慌てて挨拶の返事を返した。

「おっ、おはようございます」

「朝早くすまない」

「いいえ大丈夫です。私の方こそ朝早くから送ってしまってすいませんでした。寝ているところを起こしてしまいましたか?」

メッセージを送り返していない事を思い出して慌てて送ってしまい、相手の時間を考えていなかった事を今更ながら後悔する。

でも西条さんはすぐに「起きていたし、いつでも大丈夫だ」と否定してくれた。

そんな西条さんにとりあえず昨夜返信できなかったことを謝る。

「昨日はお忙しいところご連絡頂いたのに、何の返事も返さずにすいませんでした」

「いや、君も忙しいだろうし伝えられればそれでよかったんだ」

「そうですか?ありがとうございます」

「ああ・・・でも」

「え?」

西条さんが言い淀んだので、つい気になって聞き返してしまった。

するとクスっと笑ったような声が聞こえた後に、西条さんの声色が甘く変わった。

「こんな風に朝話せるのもいいな」

「・・・・・」

私は思わず言葉が出なくなる。

返事のない私のことは気にならないのか、変わらず話し続ける西条さん。

「今日の夜も会議で遅くなるから連絡できなくなるとこだったから今話せてよかった」

「そうですか」

「ああ」

「ん・・でも、怪我もだいぶ良くなっているので、心配頂かなくても大丈夫ですよ」

「そうか・・」

そこで西条さんは一瞬黙り込んだので気になり、とりあえず今までのお礼を伝えることにした。

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