オオカミ社長は恋で乱れる
電話を切った優貴は機嫌の良さを見せるかのように、表情に僅かな笑みをたたえていた。
執務席に座りいつものように堂々たる姿なのだが、まとっている空気が柔らかくなっている。
それを自席から見ていた佐賀は、小さなため息をついてから確認するかのように言葉をかけた。
「先程までの機嫌の悪さは、解消されたようですね」
「ん?」
こちらに視線を向けた西条は、いつもの鋭い目つきを見せつつも返す声に棘はない。
それは明らかに数分前のものとの違いを感じさせる。
理由は分かっている。
ここ数日間お気に入りの女性に会えずにいるからだ。
仕事にしか興味を持たなかった西条が、あの事故以降『清水絵莉』に高い関心を持っている。
いや、夢中になっていると言ったほうが正確だろう。
様々なアプローチをしているようで、女性が喜ぶスイーツを自ら調べたり私に聞いてきたりもする。
そんな西条優貴など秘書として見たことがなかったので最初はかなり戸惑いもしたけど、彼の変化を悪いものだとは感じなくなっていた。
今までは毎日過密スケジュールに追われて朝から夜遅くまでただ仕事だけに時間を使っていたし、彼自身がそれを望み不満を口にすることもなかった。
プライベートを優先するなんてこともない毎日を過ごしていた。
オオカミ社長と揶揄されるように誇り高く、冷静・冷徹な判断でビジネスの世界に君臨してきた彼が初めて見せた人間らしさがあの苛立ちだったのだ。
清水絵莉に会いに行くことができない。
それが彼にストレスを与え、今まで最優先してきた仕事でさえもどこか忌々しさを感じているように見えた。
執務席に座りいつものように堂々たる姿なのだが、まとっている空気が柔らかくなっている。
それを自席から見ていた佐賀は、小さなため息をついてから確認するかのように言葉をかけた。
「先程までの機嫌の悪さは、解消されたようですね」
「ん?」
こちらに視線を向けた西条は、いつもの鋭い目つきを見せつつも返す声に棘はない。
それは明らかに数分前のものとの違いを感じさせる。
理由は分かっている。
ここ数日間お気に入りの女性に会えずにいるからだ。
仕事にしか興味を持たなかった西条が、あの事故以降『清水絵莉』に高い関心を持っている。
いや、夢中になっていると言ったほうが正確だろう。
様々なアプローチをしているようで、女性が喜ぶスイーツを自ら調べたり私に聞いてきたりもする。
そんな西条優貴など秘書として見たことがなかったので最初はかなり戸惑いもしたけど、彼の変化を悪いものだとは感じなくなっていた。
今までは毎日過密スケジュールに追われて朝から夜遅くまでただ仕事だけに時間を使っていたし、彼自身がそれを望み不満を口にすることもなかった。
プライベートを優先するなんてこともない毎日を過ごしていた。
オオカミ社長と揶揄されるように誇り高く、冷静・冷徹な判断でビジネスの世界に君臨してきた彼が初めて見せた人間らしさがあの苛立ちだったのだ。
清水絵莉に会いに行くことができない。
それが彼にストレスを与え、今まで最優先してきた仕事でさえもどこか忌々しさを感じているように見えた。