オオカミ社長は恋で乱れる
優しいだけの男?

優しいだけ?

私にとって西条さんが?

急な問いにただ目の前の彼を見つめることしかできない。

するとそんな私の思考を探るように真っ直ぐ瞳を見つめてきた。

「君が俺のことを優しいと言ってくれるなら、それは俺が君達だけに優しくしているからだと思う」

「私達・・だけにですか?」

「そうだ」

断言してみせるその瞳の真剣さに、嘘の軽さは感じられない。

私はただ言葉の意味を探った。

「下心だ」

「下心・・・」

「君のことが好きなんだ」

「・・・えっ・・」

好きって言った?好き?

想像もしなかった言葉に耳を疑う。

混乱はありありと表情に出ていて、落ち着きを取り戻せない。

心拍に合わせるように、まばたきも速くなる。

そんな私とは正反対に西条さんは落ち着きはらった顔を見せている。

「全然気付いていなかったのか?」

「・・・はい」

返す声が小さくなる。

まさかそんな事思ってもいなかったもの。

「そうか・・・」

「すいません・・・」

「いや、別にいいんだ。ハッキリした言葉で気持ちは伝えていなかったしな」

「・・あっ、いえ」

どうにも返事の言葉が鈍くなる。

どう返していいか分からないよ。

いつもなら西条さんの顔を見て会話してるのに、驚きか戸惑いか顔を見ることもできない。

だって西条さんが私を好きとか考えられない。

そんな心情を察したのか、少し間を置いてから西条さんがさっきより優しい口調で話し出した。

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