オオカミ社長は恋で乱れる
その問いに、すぐ答えることはできなかった。

悠と凛がこんなに可愛いのに、普通の幸せを私が叶えてあげられることがあまりに少なくて。

車に乗ることも、美味しい外食に連れて行くことも、両親がそろって子供の手をつないであげることも。

そんなことが次々に頭に浮かんで、自分の至らなさに子供達に申し訳なく思い胸が苦しくなった。

すると悠のそばにいた西条さんは立ち上がり、私の隣に座りすぐそばから私の顔を見た。

「大丈夫か?」

「すみません、大丈夫です」

うつむいて誤魔化しても、西条さんが心配してくれていることが伝わって来る。

「子供達の幸せそうな寝顔を見ていたら、何だか申し訳なくなってしまったんです」

「どうして?」

「私にはできないことが沢山ありすぎて・・」

「どんな事?」

「西条さんには母親として頑張っていると言ってもらえたけど、贅沢なことはもちろんなんですけど、普通のことすらやってあげられないことが沢山あるんです」

そう伝えると西条さんは真っ直ぐに私を見つめてきた。

いつものように鋭い眼差しだけど、私は知っている。

この鋭さの中には温かい優しさがあることを。

「うん・・君にできないことは沢山ある。」

そう言ってくれる声も優しい。

「はい・・」

私が返事をすると西条さんは私をそっと抱きしめた。

その腕の中で身体をびくつかせる。

西条さんの胸に寄せられて、私の背中に腕が回った。

「・・・・・」

驚いて言葉が出ない私に、諭すような声が降りてきた。

「君に足りないとこはない。でもできないことはある。だからそのできないことは俺にさせて欲しいんだ。俺は君に頼られたい」

「西条さんに・・ですか?」

「ああ、そうだ。俺も悠や凛を幸せにしたい。もちろん君のことを何よりも幸せにしたい」

「・・・・・」

その言葉に胸が熱くなった。
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