オオカミ社長は恋で乱れる
「彼女と食事に行きたいんだ」

「食事・・・ですか?」

「ああ。彼女とゆっくりと過ごしたい」

その言葉が更に佐賀を驚かせた。

西条の口からそんな言葉を聞く日が来るなんて・・・。

動揺と驚愕の入り混じった感情が、佐賀の心を揺すぶった。

佐賀は冷静沈着な人間である。

いかなる時も無表情に対応することができる・・・はずだった。

しかし今の西条の「彼女とゆっくりと過ごしたい」発言に、無の仮面を剥がされる程の動揺を持たせた。

「・・・彼女・・とは清水さんですよね?」

つい確かめるように聞いてしまった。

するとここで目の前を歩く西条が足を止め、振り返り、淡々と答えた。

「あたりまえだ。他に誰がいるんだ?」

そう聞かれてすぐに「失礼しました」と一礼すると、西条はまた歩き出した。

確かにあたりまえなことだった。

彼にとって『ゆっくり過ごしたい彼女』と表現できるのは清水絵莉しかいない。

それを解っていたうえで、つい動揺からかおかしな質問をしてしまった。

でも西条にとって気に障ることでもなかったようで、また前を向き歩き始めた。

そしてそのまま会議室へ入ると、またオオカミ社長として強い眼差しを皆に向けていった。





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