オオカミ社長は恋で乱れる
しかし当の西条に至っては真顔で話し続けている。

「とりあえず社用車に取り付けてまた外すより、俺の車に取りつければ外す必要がないだろう」

「・・・・・」

さすがの佐賀も言葉をなくしてしまった。

もう自分の車を家族仕様にしてしまおうとしている西条は、何の抵抗もないらしい。

そうまでして清水さんとの縁を繋ごうとしている。

自分がするべき事は、西条の指示通りに動く事だ。

「はい、承知しました。それではまずチャイルドシートを手配しておきたいと思います。清水さんとお約束が整いましたら、明日取りつけをさせて頂きます。それでよろしいでしょうか?」

「ああ、頼む」

「かしこまりました」

一礼して次席へと戻り、まずは取り急ぎ必要となるチャイルドシートについてネットで調べることにした。

自分もチャイルドシートには縁がなく、選ぶ基準が分からない。

沢山ある種類に悩まされながらも、優れた性能を持つ物を選び2つ発注した。

そしてあとは・・・会長への連絡である。

会食を楽しみにしている奥様のことを思うと心が痛くなるが、本人がもう決定事項としてしまっている以上仕方がない。

そう思いながら席を外して部屋から出ると、今使われていない会議室へ移動をして会長宅へ電話をした。

約束をキャンセルされた奥様は声を落として嘆息をついたので、申し訳ない気持ちになってしまった。

会食のキャンセルの理由は取引先との商談と嘘を伝えた。

まだ何も知らない会長と奥様に、女性に会いに行く為とは言えない。

まさか結婚の可能性の見えない息子が、恋に落ちるどころか愛に走っているとは思ってもいないだろうと様々な感情を想像した。

そんなことがあったけど、結果として西条の表情を見ればいい進展があったらしいので良かったということだろう。

ただ西条優貴は御曹子。

西条が選んだとはいえ、シングルマザーの清水さんとの付き合いには様々な障害があることも佐賀は懸念していた。



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