オオカミ社長は恋で乱れる
「それなら良かった。今終わって今日は会いに行けなかったから声だけでも聞きたいと思ったんだ」

「えっ」

「本当は絵莉の顔を見て抱きしめたいけどな」

「・・あの、・・えっと・・・」

あまりにストレートな言葉に戸惑いと恥ずかしさで言葉を詰まらせていると、電話の向こうで「フッ」と小さく笑う声が聞こえた。

「会いたい、本当に。それはいつも思ってる。絵莉を抱きしめて、悠と凛の寝顔も見たい」

「ありがとうございます」

ささやくように耳に届く声に喜びを感じ、それと共に目の前にいない寂しさも感じて瞳を閉じる。


 ー私も会いたいですー


その一言が恥ずかしくて、言葉に出して言うことができない。

本当は素直に言いたいのに。

会いに来てくれるようにねだってしまうような気がして、素直な気持ちを伝えられない。

そんな私の色気のない返事を聞いても、西条さんは優しい言葉を返してくれる。

「また連絡するよ」

「はい」

「おやすみ」

「おやすみなさい」

そして西条さんが電話を切るのを待って、私も切った。

そのままスマートフォンを見つめて西条さんの顔を思い浮かべていると、物足りないような気持が湧いてくる。

「会いたいです・・・」

さっき言えなかった言葉をつぶやく。

もう何年も恋をしていない私には、とてもハードルの高い言葉。

言えない気持ちが想いを高める。

私・・こんなに西条さんが好きなんだ。

もっと好きになってもいいのかな・・・?

臆病な気持ちに気付くと何故だかどんどん胸が苦しくなっていくような気がした。



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