2度目の初恋も、君とがいい

聖なる日に

「はー、もうすぐ冬休みかぁー」



12月。
寒くて冷たくなっている両手を口元に持ってきて、息を吹きかける。
白くなった息が寒さを物語っている。



「なに、冬休みいやなの?」



隣を歩く永人が首を傾げる。



「うーん、実家に帰らないとならないしね」



夏休みは毎年帰らないんだけど、冬休みは当然お正月もあるし実家に帰る。



「実家いなやなの?」


「実家がというか、地元がね」



毎年帰っても特に何も無いのだけど、それでも誰かに会うかもしれないという恐れが消えない。

もう小4からは7年も経ってるし、みんないい大人だ。
あの頃にしていたことなんて覚えてもいないだろう。
あたしの存在も消えてるのだろうと思う。

それでも消えないのは、あたしが〝された〟方だから。
〝した〟方は覚えてなかったりする。



「千花の実家、西町だっけ?」


「うん。永人は……」


「俺も西町だよ」


「そっか。案外近くだったんだね」

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