2度目の初恋も、君とがいい

バレンタインの涙

「うまくできるかなぁ……」



食堂のキッチン。
あたしは材料とにらめっこして、スマホをいじる。

明日はバレンタインデー。
世の女の子たちが恋する相手に頑張る特別な日。

あたしもその1人。



「もうこんな時間だし、はやく作らなきゃ」



明日のバレンタインデーにチョコを渡したいのはあたしだけじゃなくて。
みんなも同じだから、今日はキッチンの混み具合がひどかった。

小学四年のときにあのことがあって以来、誰かにチョコを作るなんて行為したことがなかったからチョコ作りには自信がない。

だから、みんなが終わってから作りたくて待っていたら時計は22時をさしていた。



「よーし」



味とか形とか。
そんなに自信はない。

でも、永人への思いはたくさん込められる。
きっと永人はたくさんのチョコをもらうだろう。
あたしのチョコなんか埋もれてしまうかもしれない。

でも、それでもいい。
思いを込めたチョコを渡したい。

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