2度目の初恋も、君とがいい
「隣なんだ」



その人は、あたしが机に目を向けてそう言った。



「……はい」



なんで、声が漏れてしまったんだろう。

窓をみる、その背中に。
さっき、会っただけなのにあの人だってわかってしまった。



「千花、さっきから騒がれてるのこの人じゃない?」



あたしに耳打ちをしてくる。



「あー……」



隣になったこの人は、容姿がバツグンに良かった。
騒がれでも当然なぐらいだ。



「あんた、名前は?」


「……っ」


隣の席からあたしの顔を見つめてくる。

それだけで、逃げ出したくなる気持ちになってしまう。
自分の名前を言う事もできない。



「おーい、無視?」



呆然とただ1点を見つめてるあたしの顔の前で、手をパタパタとさせる。



「この子、ちょっと人見知りだから。ごめんね」



何も言えないあたしを見かねて、日奈子が助けてくれる。



「そっ」



日奈子のことを見ることもせず、ふいっと顔を逸らしてまた窓をみる。

この人、人見知り?
……にしてはあたしには普通だよね。


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