極上社長と結婚恋愛
「じゃあ、そろそろ帰ろうかな」
「お義父さんが帰らないなら、ごはん食べていけばいいのに」
立ち上がった母に声をかけると、迷うそぶりもなく断られた。
「ごめんね。今日は家で映画を見ながらひとりでピザを食べるの」
うきうきとそう言われ、苦笑いした。
子育ても仕事も頑張り続けた母が、背負い続けてきたものをようやく下ろして自分の時間を楽しんでいるのが伝わってきてほほえましくなる。
「そっか。じゃあ気を付けてね」
「おじゃましました。直哉さんにもよろしく伝えてね」
「わかった」
玄関で母を見送り部屋に戻ると、ダイニングテーブルの上の花が目に入った。
華やかなピンク色のトルコギキョウ。