極上社長と結婚恋愛
おずおずと手を下ろし直哉さんのことを見上げると、彼は綺麗な眉をひそめて笑った。
「直哉さん……?」
その表情の意味がわからなくて、戸惑いながら名前を呼ぶ。
「あずさちゃんはずるいね」
ずるいって、なんのことだろう。
わからなくてただ直哉さんのことを見上げていると、長い指が私の目元にたまった涙をぬぐってくれた。
「そうやって、加虐心と庇護欲を同時にくすぐるような顔をしちゃだめだよ」
「加虐心……?」
意味が分からず首を傾げると、直哉さんがゆっくりと瞬きをする。
そして、ぞくりとするような色気を纏ったまなざしで見つめられた。
それだけでまた心臓が跳ねて頬が赤くなってしまう。
「ず、ずるいのは直哉さんのほうです」
動揺を隠すように私がうつむきながら言うと、「どういう意味?」と耳元でたずねられた。
ソファの端にいる私を追い詰めるようにたくましい体が近づいた。
うつむいて視界が狭くなっているせいか、彼の呼吸や衣擦れの音、そして重心の移動にソファが微かに軋む音まで鮮明に耳に届いてドキドキしてしまう。