極上社長と結婚恋愛
 

「どうした、妹」

聞き覚えのある乱暴な口調にこわごわ視線を上げると、副社長の緒方さんが立っていた。

「お前、すごい顔色してるぞ」

青ざめた私の顔を見て、緒方さんは驚いたように言う。

「あの……、直哉さんが結婚するって本当ですか?」

私の唐突な問いかけに、緒方さんは眉を上げた。

「本当だけど。なんで一緒に住んでる妹が知らないんだよ」

当然のようにうなずかれ、一気に目の前が暗くなった気がした。

結婚って、誰と? 私のことを好きだって言ってくれたのに……。
そんな疑問がぐるぐると胸の中で渦巻く。

「この前の日曜に、親に挨拶に行ってきたらしいぞ。お前なにも聞かされてないのか?」

憐れむような口調に、じわりと目頭が熱くなった。慌てて唇を引き結んで涙をこらえる。
私はなにか勘違いをしてたんだろうか。直哉さんに好きと言われて、舞い上がってうぬぼれて。


 
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